俺は当たったが、奴が打ち始めた瞬間、台の挙動がわずかに重くなる。
奴は卓越したストローク技術で、島全体の還元予算を自分の台へと引き寄せようとしているのだ。
俺は即座に応戦した。
あえて1回転ごとに打ち出しを止め、奴の計算に「ノイズ」を混入させる。
数分間の無言の火花。やがて、銀次は小さく舌打ちし、席を立った。
「…今日は譲ってやる。だが、その波は長くは持たんぞ」
という言葉を残して。
奴という不確定要素を退けた瞬間、俺は右手を一瞬だけ「パー」の形でレバーに添えた。
静電気と特定の電圧変化を利用し、台の内部時計とホルコンの同調をコンマ数秒だけ狂わせる、俺独自のカウンターだ。
「来たな…」
店長が俺のフェイントに引っかかり、監視の目が一瞬緩んだ。
その隙に、裏基盤のデバッグモードに潜り込んだような感覚。
本来なら外れる演出が、強引に書き換えられるように図柄が揃う。
そこからは完全に“無双”。
連チャンは止まらず、右打ち中の玉の弾け方すら昨日とは違う。
勝利の音が、ホールの喧騒を切り裂くように響く。