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ノーボーナスで、50回を切るといたたまれない気持ちにになるのがe東京喰種。

 

 

 

 

 

 

75%継続。4回に1回は駆け抜ける計算。

 

 

 

 

 


そんなもんだから、台を休ませたり、単発打ちしたり、いっそうオカルトに力が入るのだろう。































トイレ休憩打法。





























これぐらい連チャンしてくれると


心の余裕が生まれる。










心の余裕がリゼを連れてくる。








今夜も叫びたい。








僕はチューリップ係長。








大勝の余韻に浸りながらホールを後にしようとすると

 

 

 

 

自動ドアのすぐ手前で、スマホを片手に頭を抱えてフリーズしている若者の姿が目に入った。

…令和くんだ。

 

 

 

 

 


「令和くん? どうしたんだい、そんなところで立ち尽くして」

 

 

 

 

 

 

私が声をかけると、彼はビクッと肩を揺らし、救いを求めるような顔で振り返った。












「か、係長…! ちょうどよかった、相談に乗ってください!」


「どうした? また仕事でミスでも…」


「違います! 明日の彼女とのデートプランのことです!」

 

 

 

 

 

 

 


自信満々にスマホの画面を見せてくる令和くん。

そこには、メモアプリに整然とまとめられた明日のタイムスケジュールが表示されていた。

 

 

 
















 

 


【土曜日 デートプラン】


・11:00~12:00 映画鑑賞


・12:30~13:30 ランチ(おしゃれカフェ)


・14:00~17:00 e東京喰種(並び打ち)


・17:30~ ディナー

 


















 

 

 

 

「…令和くん」

 

 

 

 

 


「はい! 映画でカルチャーを満喫し、


カフェで腹ごしらえをした後、


パチンコで期待値を積みつつ脳汁を出して、


勝ったお金で豪華なディナーを奢る。タイパ・コスパともに最強の完全無欠プランです!

 

 



…問題は喰種か海物語どっちがいいか悩んでいて…」

 

 

 

 

 

 


ドヤ顔で言い切る令和くんに、私はめまいを覚えた。

 

 

 

 

 

 

「…全力でストップだ。


そのプランは即刻却下しなさい!」

 

 

 

 

 

 


「えっ!? なんでですか!?


彼女もこの前『パチンコってどんなところ?』


って興味示してたんですよ!


連チャン中の離席(トイレタイム)の素晴らしさも教えてあげようと思って…」

 

 

 

 

 

 

 

「あのねぇ!


興味があるのと、デートで行きたいのは全く別問題なんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

パチンコ好きの私ですら、これには大慌てだ。


私は令和くんの肩を掴み、熱弁を振るった。

 

 

 

 

 

 

 

「いいかい令和くん。


パチンコと恋愛の本質は似ていると言ったが、『相手の期待値』を読み違えてはダメだ!」

 

 

 

 

 

 

 

「相手の…期待値?」

 

 

 

 

 

 

 

「そうさ! パチンコ台はヘソに玉が入れば決まった確率で抽選してくれるが、


女性の気持ちはそんな単純なプログラムじゃない!


彼女が明日のデートに求めているのは『あなたと過ごす特別感』という期待値なんだ。


そこに『パチンコ店の爆音と煙草の匂い』というノイズを混入させてどうする!」

 

 

 

 

 

 

令和くんはハッとした表情を浮かべた。


「でも…もし確変に入ったら、


二人で最高に盛り上がれるじゃないですか…?」

 

 

 

 

 


「甘い! 今の荒波スマパチが3時間程度で波に乗ると思う?


いや当たろうが当たらまいが彼女のテンションは激冷め、


空気は重くなり、せっかくのディナーも気まずい反省会に早変わりだ!」

 

 

 

 

 

 

「た、たしかに…確変単発スルーした後の沈黙は、仕事のミスよりキツいっすね…」

 

 

 

 

 


イメージが湧いたのか、令和くんの顔からスーッと血の気が引いていく。

 

 

 

 

 

 

 


「パチンコは、お互いの信頼と愛が十分に深まってから、ふらっと遊びに行くくらいが丁度いい。


初々しい時期のデートにおけるパチンコ組み込みは、リスクが高すぎる悪手なんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

「…係長。僕、完全に自分の脳汁優先で、


彼女の『期待値』を計算できてませんでした…」

 

 

 

 

 

 

 

深く反省して肩を落とす令和くんに、私は優しく笑いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「気付いて修正できれば、それでいいんだよ。


ほら、14時からの枠は何にする?」

 

 

 

 

 

 

 


令和くんは速やかにスマホを操作し、パチンコの項目を削除した。

 

 

 

 

 

 

「…近くの水族館のチケット、今からオンラインで取ります!

 

海じゃなくて、本物の魚群を見に行ってきます!」

 

 

 

 

 

「ハハハ! それは最高の立ち回りだ!

 

マリンちゃんも応援してくれるよ」

 

 

 

 

 


吹っ切れた笑顔を見せた令和くんは、





「ありがとうございます!

タイパ良くリカバリーしてきます!」




と言って、今度こそ軽快な足取りで駅へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ…」








冷めやらぬ熱気と、ポケットの中のちょっとした臨時収入。


部下の恋愛の「パンク」を未然に防げた満足感に浸りながら、私も夜風を浴びて歩き出した。

 

 

 


「さて…俺は家に帰って、明日奥さんをパチンコに誘ってみるかな。」

 

 

 

 

夜空を見上げながら私も晴れやかな気持ちで改札へと向かったのだった。

 

 


(終)








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